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最高裁判所第三小法廷 昭和25年(あ)1655号 判決 1952年3月18日

本籍

愛知県東加茂郡松平村大字九久平字座頭谷下二四番地

住居

同県岡崎市元能見町南部一七九番地 木村任得方

無職

柴田鈴子

大正八年三月九日生

右の者に対する殺人被告事件について昭和二五年三月一日名古屋高等裁判所の言渡した判決に対し、被告人から上告の申立があつたので当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

弁護人牧野彊の上告趣意について。

憲法三七条一項に「公平な裁判所の裁判」というのは、構成その他において偏頗のおそれなき裁判所の裁判という意味であること、当裁判所の判例(昭和二二年(れ)一七一号同二三年五月五日大法廷判決等)の示すとおりである。原判決は被告人のように人命を軽視する思想が「民主々義樹立の為に重大なる障害をなすものである」と云っているが、これは要するに人命重視、人権尊重の必要を説いたものに外ならない。これを以て憲法三七条一項に違反するものと主張する論旨の理由なきことは、前記判例に徴して明らかである。それ故論旨は採用することができない。

なお記録を精査しても本件に刑訴四一一条を適用すべき事由も認められない。

よつて刑訴四〇八条、一八一条に従い主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。

(裁判長裁判官 井上登 裁判官 島保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)

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